2016年10月13日木曜日

海外でパイロットになろう!

海外でパイロットになろう! というグループをフェイスブック上で立ち上げました。

「海外でパイロットになろう!」

で検索してください。 Closed groupとしていますので、書き込みをしたり、投稿を読むには承認が必要です。 お気軽に承認申請を送ってください。


(つづく)

2016年10月12日水曜日

10月の質問

 今月これまでにメールで頂いた質問への僕の答えを掲載します。


  • カナダのフライトスクールは日本よりやすいとのことですが、具体的に訓練費用にいくらぐらいかかりましたか?ネットで調べたところ日本円で500万程度だと書いてありました。 また、費用のほうはすべて自費で出したのでしょうか。それとも教育ローン的なものを活用したのでしょうか。

カナダのフライトスクールは日本よりはだいぶ安いです。 恐らく1/4から1/5程度でしょう。 僕が訓練を始めるにあたり用意した資金は:

自家用操縦士免許:約100万円
事業用操縦士免許および教育証明資格:約400万円

これらには訓練中の生活費を含みます。 ローン的なものは利用せず、日本でせっせと働きながら貯金をしました。 これで訓練中に資金不足になることはありませんでした。

  • 年齢は今おいくつなのでしょうか。2006年からカナダへ行かれて8年目でエアラインに就職したとのことで気になっています。 カナダへいく際、英語の能力はどの程度だったのでしょうか。 自分も現在英語の勉強はしていますが気になります。

現在30代後半で、アラフォーです。 英語力は問題ありませんでした。 大学は日本で外国語大学を卒業しました。 在学中にアメリカに1年間交換留学もしました。 カナダに来た際には英語に困ることは幸いありませんでした。

  • おすすめのフライトスクール等はありますでしょうか。

僕自身が通ったスクールは2校のみで、スクールの良し悪しまでは正直わかりません。 ただ、僕が訓練を受けたカナダ・ビクトリアにあるVictoria Flying Clubはお勧めできます。 歴史のあるフライングクラブで、政府の認可を受けた教育機関でもあります。 そのため、学生ビザを取得するのもいたってシンプルです。 西海岸特有の落ち着いた雰囲気のスクールで、訓練環境もよく、天候も温暖で快適です。 僕はこちらで事業用操縦士、多発限定、教育資格、計器飛行証明など、ほとんどの資格を取得しました。 個人的にもフライングクラブで働くマネージャーやインストラクターの多くと交流があり、相談を受けた場合にはこちらのスクールをお勧めしています。 他にもカナダ西海岸には多くのフライトスクールがありますので、他のスクールも検討されると良いと思います。

ご質問ありがとうございました。


(つづく)

2016年7月22日金曜日

エアラインパイロットの生活の実態を10項目挙げてみました。

エアラインパイロットの生活について少し書いてみようと思います。 

僕は子供の頃からパイロットになりたいと思っていました。 子供の頃は飛行機の音が聞こえると屋根の上に上がって機影を追うような子供でした。 このブログを読んでくださっている方の中には僕のような幼少時代を過ごされた方も大勢いらっしゃると思います。

エアラインパイロットの端くれになってみて、「エアラインパイロットの生活ってこういうことか〜!」と実感したことが多々あります。 それは、良いこともあり、悪いこともあります。 「パイロットになることが夢」というだけで前進するのはもちろん素晴らしいと思いますが、人生設計の観点からいうと、パイロットの生活がどういうものかを知っておいて損はないと思いますし、もしかしたらパイロットの生活スタイルはあなたが夢見ているものではないかも知れません。

前置きはこのくらいにして、さっそくいってみましょう。

1.月の半分は休み

今の仕事では、僕は1ヶ月に15日ほど働いています。 国によっても違うと思いますが、エアラインパイロットには連続して働いてもよい時間や日数に制限があります。 疲労はミスを誘発することもありますから、休むこともも仕事のうちという感じでしょうか。 国際線を飛ばしているエアラインパイロットの方々の場合は月に8日しか働かないということもあるそうです。 ただ、それには理由があるはずです(時差ボケを治す時間が必要等)。 ですから実際には大変な面もあると思います。

2.月の半分はホテル暮らし

月に15日間働く間、ほとんどはホテル泊です。 会社が用意してくれるホテルに泊まります。 各都市に会社が利用するホテルがあります。 ときどきホテルが替わったりすることもあります。 僕はだいたいどんなベッド・枕でも寝れるので問題ありませんが、そういうところに敏感な人や潔癖症な方は大変かもしれません。 僕の同僚の中には「羽毛の布団はだめ」とか、「洗剤が合わないと枕でかぶれる」なんていう人もいます。 

家族がいる方も大変かも知れません。 僕の場合は最長で自宅を3日間留守にします(3泊4日)。 もし自分に小さい子供がいたり、ペットが居る場合にはこういう生活は難しいか、無理かもしれません。

3.引っ越し/通勤の可能性あり

転職したり、会社内での人事異動があったりすると他都市に引っ越さなければならなかったり、通勤を余儀なくされることもあります。 そういうこともあり、不動産を購入するのはなかなか難しい場合もあるようです。 

4.世界が狭くなったように感じる

自社便や他社便に割安で乗れるパスがもらえるので、今まで行けなかった都市に破格値で行けたり、日本に頻繁に帰れるようになります。 また、毎日の仕事でも国境を越えたり、結構な距離を移動したりしますので、世界が狭くなったように感じます。 

5.早朝出勤

午前4時30分ホテル出発なんていうこともざらです。 4時半に出るためには前日の夕方のまだ外が明るいうちからベッドに入る必要があります。 

6.深夜勤務

逆に、夕方から仕事を開始して日付が変わるまで働き、午前1時過ぎにホテル到着なんていうこともあります。 

7.年功序列

多くの航空会社では各パイロットにseniority numberという固有の番号を振り与え、その番号をいろんなことを決める際に使います。 例えば、毎年の休暇の希望をこの番号順に決めたり、毎月のスケジュールを決めるときにも番号順に決められます。 

8.ずっと勉強

半年ごとの資格更新訓練もそうですが、日々なんらかの形で勉強を続けることになります。 今まで慣れ親しんだ手順が少し変わったり、または新しい手順が追加されたり、自分自身で飛行機の知識を深めたりと、勉強をしなければならないシチュエーションが多々有ります。 こういうこともあってか、パイロットの多くは勉強好きな人が多いように感じます。 僕の先輩や知人パイロットもいつも努力を続けている人ばかりで、良い刺激を受けます。

9.いろんな人と働く

パイロットもそうですが、フライトアテンダントの数も多く、毎回違う人と働く、または毎フライト違うクルーと飛ぶなんていうこともあります。 「はじめまして」と挨拶をするのが日常的です。 女性フライトアテンダントもいれば男性フライトアテンダントもいますし、ゲイの人もいれば、レズビアンの人もいます。 

10.低賃金

パイロット=高給取りという構図にたどり着くには結構な時間がかかります。 特に下積み時代のお給料はとても低いことが多いです。 


以上、良いことも悪いことも書いてみました。 他にもまた気がついたらその都度シェアしようと思います。 どんな仕事でもそうですが、必ず良いことと悪いことがあります。 パイロットを夢見ている方だったら少々の困難は乗りきれるでしょうが、もしかしたら「想像していたのと違う」と幻滅されることもあるかもしれません。 そういった理由からなるべく現実をしっていただければと思います。 それでもパイロットになりたい方にはぜひトライしていただきたいです。


(続く)


カナダでエアラインパイロットになるには永住権が必要です。

「永住権」がないとカナダでエアラインパイロットになるのは難しいでしょう。 実際、エアラインパイロットの募集要項を読むと、

"Canadian citizenship or landed immigrant status"
(カナダ市民権、または永住権保持者)

という条件がある場合がほとんどです。 就労ビザでも可能な場合もあるようですが、ビザの取得にはスポンサーが必要になることもあり、エアラインはそういう面倒なことは嫌がるのかもしれません。

永住権の取得方法にはいろいろあります。 詳しくはカナダの移民省・CIC Canadaのウェブサイトを見てもらうと良いでしょう。

僕自身はもともとはSkilled Workerというクラスで申請を考えてカナダに来ました。 当時はCanadian Experience Classというクラスが存在しなかったので、Skilled Worker Classが唯一の申請方法だったと記憶しています。 億単位のお金をお持ちの方であれば投資家として移民することもできるでしょうが、そんな方はパイロットになる必要はきっとないですね(笑)。 その後、いろいろありまして、カナダ人のパートナーと一緒になることになり、結果的にはFamily Classというカテゴリーで申請を出すことになりました。 

他の方法としてよく聞くのがProvincial Nominee Classというものです。 これは、州に推薦してもらって移民になるというもので、州によって規定が異なります。 僕の知り合いの中にもこの方法でカナダの永住権を取得された方が何人かいます。 ご自身の経歴と各州の求めている人材がうまくマッチすればこれが一番早く永住権を取得できる方法であるようです。

あとは前述のCanadian Experience Class。 これはカナダで就労ビザを取得してしばらく働いた人々を「カナダにとって必要な人材」として認め、そういう方々に永住権を授与しようというプログラムです。 これも魅力的です。

永住権は市民権とは別物です。 主な違いは、選挙で投票するには市民権(Citizenship)が必要になり、永住権保持者は投票できません。 また、警察・軍・政府などの仕事に就くのにも市民権が必要です。 市民権はいわゆる「国籍」で、これを取得することで「カナダ人」になります。 日本は二重国籍を認めていない国なので、市民権を取得することは日本国籍を捨てることになります。 そのため、僕は永住権のみでとどめていて、国籍は日本のままです。 万が一なにかあって日本に戻りたいときにスムーズにいくように国籍は捨てないでおこうと決めています。 ちなみに市民権を取得するにはまずは永住権を取得することが必要になります。 永住権を取得後たしか2年が経過すると市民権申請の権利が発生します。 ですから、いきなりカナダ人になる!ということは不可能です。

以上、僕が知っている範囲で永住権のお話をしました。 情報が古い場合もありますので、最新の情報はカナダ大使館ウェブサイトやCICウェブサイトを参照してください。


(つづく)




2016年7月5日火曜日

カナダでパイロットになるのは、日本でパイロットになることに挑戦してからでも遅くはないです(一部例外あり)。

今日も僕のブログを見てくださった高校生の方から問い合わせをいただきました。 ブログをはじめて10年近く経ちますが、高校生の方からメールをいただくことがよくあります。 こんなことでもないと日本の高校生と交流を持つことなんてないので、とても新鮮です。

今回の質問は、

「カナダでパイロットになるために、今しておいたほうがいいことはなんですか?」

というものです。 とても前向きな方ですね。 僕が高校生のころは漠然とパイロットになりたいとしか思っておらず、悠長なものでした。 

さて、本題にはいります。 こういう質問をいただく場合、まずは日本での自社養成パイロット募集への応募をお勧めします。

「カナダでパイロット」というと夢があるように聞こえるんですかね? 実際、夢はありますし、カナダのおかげで僕はパイロットになれました。 ですけど、僕の場合は以前に書いたとおり、

日本でエアラインパイロットに挑戦! → 失敗 → カナダで再挑戦!

という流れがありました。 日本人の方でパイロットになりたいという方にはこのルートに沿って挑戦することをお勧めします。 


理由その1.せっかく国内でパイロットになるチャンスがあるのであれば、まずはそれに挑戦すべきです。

チャンスがあればそれにすべてトライすべきと思います。 今住んでいる国、しかも母国で言葉も通じる。 そこに夢をかなえるチャンスが転がっているのに、それを無視してわざわざ遠回り(海外へ出る)をする必要はないでしょう。 国内で自社養成パイロットプログラムに応募することがエアラインパイロットになれるまず最初のチャンスだと思います。 高校生の方の場合、それに向けて今のうちから準備をしておくといいと思います。 高校での勉強をがんばる、健康な身体を保つ、貯金もちょっとする。 それでいいと思います。 すでに大学生の方は就職センターなどで情報を集め、徹底的に航空会社をリサーチすると良いでしょう。 既に社会人の方の場合は自社養成パイロット募集に既卒枠があればそれに申し込むのも良いでしょう。 最近は既卒採用はあまりされていないようなので、その場合は海外で、と検討すれば良いと思います。


理由その2.パイロットになるにはお金がかかります。 それを誰かが(会社が)負担してくれるなんてラッキーです。

自社養成パイロット候補として採用されると訓練中もお給料が出るのが一般的です。 1年間の地上勤務があったりして、最初からすぐに飛行訓練とはいかないことも多いと聞きます。 ただ、これから何十年もパイロットとして働くうちにこういう経験をしておくのも良いと思います。 訓練には莫大なお金がかかります。 訓練費、生活費、海外訓練滞在中の諸費用などです。 それを会社が負担してくれ、しかもお給料までもらえるなんて、超ラッキーです(笑)。 


理由その3.日本では訓練終了後すぐにエアライナーの副操縦士になれます。 

日本の航空会社の場合、総飛行時間250時間程度の経験でいきなり大型機の副操縦士になれたりします。 北米のパイロットにこのことを話すとほとんどの人は驚きます。 というのも、北米ではエアラインパイロットになるのには何千時間もの飛行時間が必要だからです。 ただ、日本以外にもヨーロッパ諸国などでは同じように自社養成パイロットプログラムを有する航空会社が多いようです。 このプログラムを通じてエリートパイロット候補を育成・選抜し、実際に副操縦士としてチェックアウトしたあとはベテラン機長と飛ばせることで実際のオペレーションでしか学ぶことができないことを経験させて育てていく。 実際にこの方法で安全運行ができているのですから、総飛行時間250時間の副操縦士でも問題ないわけです。 カナダではそうはいきません。


理由その4.日本ではエアラインパイロットの社会的地位が高いです。

日本ではエアラインパイロットはやはり華形の職業です。 副操縦士としてチェックアウトしてからすぐにかなり良いお給料がもらえます。 一方、カナダではエアラインパイロットとはいっても最初のうちはお給料は低いです。 年収1000万円クラスに到達するには結構な時間がかかります。 それまでは低賃金で働く長い長い下積み期間があります。


以上の理由から、まずは日本でパイロットになれるかどうかを模索すると良いと思います。 それでもダメだった場合には海外での方法を検討してもいいでしょう。 そのための準備は今のうちからしておくと良いと思います。 以前の書き込みでも書いたとおり、お金、健康な身体、英語力は今のうちから準備しておくと良いでしょうし、万が一カナダでエアラインパイロットを目指すのを断念したとしても手元に残るものばかりです。 損はないですよね?!

以上はあくまで高校生・大学生の方対象のお話です。 すでに社会人になって数年が経った方の場合にはこうはいかないと思います。 そんな方々のケースはまた次回考えてみようかと思います。


(つづく)

2016年7月4日月曜日

良いフライトスクールの条件はこんな感じです。

「お勧めのフライトスクールはありますか?」という質問をよくいただきます。

これにお答えするのはなかなか難しいです。 というのも、僕自身が通ったスクールは2校のみだからです。 一つはPPL訓練を受けたサスカチュワン州・サスカトゥーン市にある個人経営のスクール。 もう一つはブリティッシュコロンビア州・ビクトリア市にあるVictoria Flying Clubです。 ですから、他のスクールについてはよくわかりません。 

今のネット世代の方々だったらネットの口コミとかでスクールを選ばれたりするのかもしれませんが、僕がスクールを選んだときにはそんなものはありませんでした。 サスカトゥーンでのスクールは知人が見つけてきてくれたというだけの理由で通うことにしました。 実際に足を運んだのもサスカトゥーンに行ってからが初めてでした。 幸い、担当してくれた教官は皆さんよい人で、良い経験をさせてもらいました。 入学許可書なども郵送で送ってもらえましたし、良い印象を最初から受けました。 ビクトリアに行くことにしたときはいろいろ調べましたが、実際に下見はしていません。 バンクーバーのバウンダリーベイ空港にあるスクールには下見に行きましたが、あまり良い印象を受けなかったのでそこには行かないことにしました。 

良いスクールを見つける一番の方法は下見をすることです。 スクールの雰囲気や教官達の人柄というのはウェブサイトやネットの口コミからでは計り知ることは不可能です。 時間とお金がかかりますが、これがもっとも良い方法です。

二番目に良い方法はメールや電話で問い合わせをし、その反応を見ることです。 一旦スクールに通うことにするといろいろな面でお世話になります。 メールでの対応が遅かったり、ずさんだったり、ましてはメールに返事をくれないようなスクールでは不安が残ります。

ウェブサイトでの情報も当然ながら目を通す必要があります。 州によって税率が違いますから、訓練費用にも差が出てきます。 そういうところも考えておくと良いでしょう。 ウェブサイト上で訓練費用(1時間あたりの飛行機レンタル費や教官費)が明記されていなかったり、最後の更新が数年前だったりするようなスクールは個人的にはあまり信用しません。 日本語でウェブサイトを開設しているスクールは日本人生徒が多い証拠ですし、恐らくは日本人教官が在籍しているはずです。 そういう方にメールを送り、いろいろ質問をしてみるのも良いでしょう。 親身になって相談に乗ってくれる人もいれば、営業目的が見え見えの対応をする方も居るようです。 

そのスクールにFlight Test Examiner(実技試験の試験官)がいるかどうかも重要です。 訓練の最終段階でのフライトテストを実施できるのはTransport Canadaから任命されたFlight Test Examinerのみです。 僕がサスカトゥーンで訓練を受けたときにはスクールFlight Test Examinerが在籍していなかったため、他の都市から呼び寄せる必要がありました。 そのためフライトテストに向けた準備が終わったあともスケジュール調整が必要だったり、交通費を支払ったりしなければいけませんでした。 その点、Victoria Flying ClubにはFlight Test Examinerが数名在籍しています。 それはTransport Canadaとの太いパイプがあるという証拠でもあり、訓練の質の高さを証明するものさしと見ることも可能です。 自前で試験官を用意できるというのはスケジュールも合わせやすく、なにかと便利です。

実技試験の他に筆記試験にも合格しなければいけません。 フライトスクールの中にはPPLの筆記試験を実施することができる指定校もあります。 そうでない場合、Transport Canadaの事務所に出向き、そこで試験を受験することになります。 この事務所はそんなに数が多いわけではないので、地方で訓練を受けるとわざわざ近くの中規模都市まで出かけないといけないこともあります。 また、PPL以外の筆記試験(CPL, IFR rating等)はTransport Canada事務所で受験しなければいけませんから、やはりある程度大きな都市で訓練を受けたほうが便利なのは間違いありません。 僕が訓練を受けたビクトリアの場合、Victoria Flying Clubから歩いて1分のところにTransport Canadaのオフィスがあり、そこで試験を受験したり、ライセンスの申請をしたり、その他いろいろな手続きをすることができましたのでとても便利でした。

飛行機のメンテナンス設備はどうでしょう。 だれでもメンテナンスができるというわけではなく、これもTransport Canadaが指定するメンテナンス施設の許可を受けた場所でないと飛行機の修理やメンテナンスはできないことになっています。 これも自前でできるスクールの場合は飛行機が飛べない時間が減り、効率がよくなります。 その結果、飛行機トラブルのため訓練がキャンセルになることがなくなったり、軽度の故障であれば即座に修理をしてもらえます。 また、メンテナンスエンジニア(AME)の人たちに直接質問をしたりすることができる機会があると飛行機の知識を深めることも出来ます。 僕が通ったスクールはどちらもメンテナンス設備を有していました。

飛行機機材に関しては個人的な好みの問題だと思います。 訓練でもっともポピュラーなのはいわゆる「セスナ機」で、セスナ172と呼ばれる小型機か、セスナ152/150と呼ばれるさらに一回り小さい小型機だと思います。 このセスナ機、設計は1970年代前後という古い機体です。 もちろん、中身は新しくなっていることもありますし、無線機や計器、GPSといった機材は最新のものを搭載していることもあります。 古い飛行機ですが、それだけ訓練に最適な機体であることが証明されているともいえます。 一方、スクールによってはもっと新しい機体を揃え、それをセールスポイントにしているスクールもあります。 新しい飛行機は当然ながら飛ばしやすいでしょうし、快適だと思います。 ただ、新しい機材の場合はレンタル費用が若干割高ということもありますので、その点はチェックしておくと良いでしょう。 僕個人はセスナ機とパイパー機で訓練をやりました。 ぶっちゃけていってしまえば、「飛行機は飛行機」です。 新しかろうが古かろうが操縦技術の基礎はそんなに変わりません。 

いずれ計器飛行証明(IFR)の訓練を受けたいのであれば、その訓練も同じスクールで受けることができれば訓練はスムーズに進みますし、訓練費用の節約にも繋がると思います。 双発機の有無、フライトシミュレーターの有無も確認しておくと良いでしょう。 フライトシミュレーターは最近ではフライトスクールでもRedbird Flight Simulatorのようなフルモーションシミュレーターを保有するところも増えてきているようです。 これがあれば天候が悪い日や冬の間でも訓練をすることが可能になりますし、ずっと実機を飛ばすよりも安価で効率のよい学習が可能になります。 

スクールは学習の場であることはもちろん、社交の場でもあります。 パイロットというのはなにかとコネクション(人と人とのつながり)を大事にする職業です。 学生として訓練を受けているうちに知り合う友人が将来のパイロットポジションを獲得するためのなにかしらのきっかけになったり、情報源になったりすることも多いにありえます。 そういうことを念頭に、他の学生やパイロットライセンス保持者、飛行機所有者などとのネットワークを構築することも大事だと考えます。 そういう場を提供してくれるスクールであれば尚良いと思います。 個人経営で生徒も数人しかいないというスクールよりは、生徒が多く、卒業生のネットワークも広いスクールのほうがなにかと優位であることは間違いないでしょう。

以上、僕が考える「良いスクール」の条件をいろいろ書いてみました。 ネットを使えばいくらでもフライトスクールは見つかると思います。 「Pilot training flight school Canada」等のキーワードでGoogle検索すればたくさん情報が出てくると思います。 ネットを駆使して、まずは情報集めをすることをお勧めします。


(つづく)

2016年6月23日木曜日

パイロットになるのに遅すぎるということはあるかもしれないし、ないかもしれないというお話。

僕は日本ではいわゆる「負け組」に入る人間だと思います。

学生時代に日本の某航空会社の自社養成パイロット募集に応募しました。 書類審査は無事通過。 そして最初の面接で東京に行きました。 当時の僕は今の僕からは考えられないくらい根拠のない自信に満ちあふれていました。 なので、面接も特に準備もしませんでした。 今になって考えれば無茶苦茶です。

その面接で今でも覚えているのが、面接官の一人に聞かれた質問です。

「今回もし不採用になったらどうします?」

この質問への僕の答えは、

「その場合は海外にいってパイロットを目指します」

でした。 後輩の一人にこの会社の最終役員面接まで進んだ子がいました。 彼にこの話をしたら、

「だめですよ〜、それじゃ〜! その場合は、『今年がダメなら来年また挑戦いたします』って言わないと。」

と言われました。 なるほど〜〜! 日本の会社らしいです。

その後、一旦カナダで自家用操縦士免許を取得し、日本で社会人をして貯金をしている間に某社の「自社養成パイロットC制度」という枠に申し込みをしました。 この会社の採用審査は1〜6段階までありました。 僕はトントン拍子で5段階目まで進みました。 5段階目で「パイロット適性検査」と身体検査を受けました。 ここで残念ながら不採用になりました。 適性がないと判断されたんでしょう。 仕方ありません。 これで日本でエアラインパイロットになるという道は絶たれたので海外でパイロットになるという道を目指す覚悟が出来たわけです(日本で自費訓練をしてパイロットを目指すほどの余裕はありませんでした)。 日本では負けちゃった感じです。 でも、そこで諦める気は全くありませんでした。

僕がカナダに再度渡って来たのは28歳の時。 エアラインパイロットになれたのが36歳。 約8年かかった計算です。 僕は遅咲きのほうです。 カナダには25歳未満でエアラインパイロットになっている人も結構います。 

なんでこんな話をするかというと、僕にメールをくださる方の多くは若いころにパイロットになることを夢見ていた方で、なんらかの理由でその夢を諦め、社会人になった方が多いんです。 

 「今、〇〇才ですが、今からカナダでエアラインパイロットを目指すのは遅すぎますか? 子供の頃の夢を諦めきれずにモヤモヤしています」

という感じの質問が本当に多いです。 

これに対する僕の答えは、

「遅すぎることはないでしょう」

です。 よくある言い方になりますが、なにをするにも遅すぎるということはないと僕は基本的に思っています。 30歳過ぎからパイロットを目指してエアラインパイロットになったという人もいますし、それよりも後で訓練を始めた人も知っています。 

ここで検討すると良いと思うことは、

  1. 今の日本での安定した生活を捨てて、海外で訓練を受ける覚悟があるか
  2. もし今、何不自由ない生活をしているのであれば、これからしばらくは無収入、または低賃金で働く覚悟があるか
  3. 万が一、エアラインパイロットになれなくても後悔はしないか

ということです。 脅すつもりはまったくないのですが、今の仕事・収入・安定した生活を捨ててまで海外でパイロットを目指したいですか? ましてや、前述のように30歳を過ぎた方の場合、きっとある程度社会的地位もあるでしょうし、収入も生活に困らないくらい以上はもらっているでしょう。 カナダで訓練をするということはそれらを一旦捨てることになると思います。 もし家族をお持ちの方だったら尚更簡単には決断できないでしょう。 そこまでしてパイロットを目指したいですか?

また今度別の記事を書こうと思いますが、カナダでのエントリーレベルのパイロットの仕事の収入は日本でのフリーター生活並の額です。 「パイロット=高給取り」という構図にたどり着くにはかなりの時間と下積みが必要になります。 

ここで、25歳から訓練を開始する場合と30歳過ぎから訓練をする場合の違いについて書いてみます。 

訓練自体は特に差はないでしょう。 30歳過ぎなんてまだまだ若いです。 体力も知力も全然変わらないでしょう。 例えば20歳からパイロットを目指し、僕の例のように8年かけてエアラインパイロットになれたとします。 この場合、定年の65歳まで働くとすると、37年間(65−28=37)パイロットとしての収入を得ることができます。 一方、30歳からエアラインパイロットを目指し、38歳でパイロットになれた場合には27年間(65−38=27)パイロット収入を得ることができます(定年まで健康で、航空身体証明書を更新できたという仮定のお話です)。 

ご覧のとおり、10年間の収入差が出るわけです。 これは結構大きいです。 しかも、30歳からスタートするとなると、それまで作り上げてきた生活基盤を一時的に失うことにもなりかねませんが、20歳からの場合には収入も大した額をそもそももらっていないでしょうから、失うものが少ない、リスクが少ない、ということになります。 万が一、パイロットになれなくても、20代であれば日本に戻っていくらでもやり直しがきくでしょう。 30代後半からのやり直しはなにか特別な知識や経験がないと少し難しくなるかもしれません。

結構厳しいことを書いているようにも思いますが、パイロットの道を進むにはそれなりの覚悟がいるということを理解していただいたほうが良いと思うので今回このブログ記事を書きました。 この業界は長い下積みもありますし、低賃金で働くこともあります。 また、仕事に一旦ついてからも健康状態を保持しないといけないですし、半年に一度は試験に合格し続けないと仕事を続けることはできません。 こういうことをクリアしていくにはそれなりの覚悟と意思がないと続かないと思います。 ですから、パイロットに興味がおありの場合、よく考えてから決断されることを強くお勧めします。

なにか質問があればいつでもメールでお問い合わせください。


(つづく)